横浜駅東口から徒歩約5分。近代的なオフィスビルが立ち並ぶ一角に、思わず童心に返ってしまう場所があります。
それが「原鉄道模型博物館」。
街の景観にすっかり溶け込んだ外観からは、中にどんな世界が広がっているのか想像もつきません。
だからこそ博物館に足を踏み入れる前から、自然と胸が高鳴りました。
横浜駅東口から迷わず行く方法

横浜駅構内の中央通路を東口方面へ進むと、大きなエスカレーターがあらわれます。
そのエスカレーターを下り、すぐ右の通路へ。
道なりに左へ進むと、突き当たり右側にある「G階段」が見えてきます。

階段を上って直進し、橋を渡ると、左前方に「原鉄道模型博物館」の案内表示がある横浜三井ビルがあらわれます。
一見すると都会的で無機質なビルの中に、あの鉄道の世界があるとは——そのギャップも、この博物館の魅力の一つです。
いきなりの「動鉄実習」体験

2階受付へ向かうエスカレーターを上り、「さあ入場」と思ったその瞬間、「ちょうど動鉄実習(うごてつじっしゅう)を行っていますので、ぜひこちらから」と声をかけていただきました。

案内された先では、緻密に作り込まれた鉄道模型と街のジオラマが広がり、参加者のみなさんが模擬運転を楽しんでいます。
順番が回ってきて座った運転席は、なんと実際に本物の電車で使用されていたもの。


進行用と制動用、それぞれのレバーはずっしりとした重みがあり、長い歴史を物語っています。
レバーを操作すると、目の前の模型列車が静かに走り出し、スピードを上げ、次の駅で停車。
さらに車両に搭載されたカメラ映像がモニターに映し出され、まるで自分が本当に運転士になったかのような感覚に。
夕焼けから夜景へと移り変わる街並みを走り抜ける体験は、想像以上に臨場感があり、新鮮な感動がありました。
*動鉄実習
1日3回(10:30-/12:30-/15:00-)、先着順で各回5組(計15組)まで体験可能。参加には入館券と整理券が必要です。
原鉄道模型博物館のはじまり

あらためて入り口から見学。
この博物館は、鉄道模型の製作・収集に生涯を捧げ、平和な世界を願い続けた原信太郎(はら のぶたろう)さんの想いや膨大なコレクションを後世に残すため、2012年にご子息の原丈人(はら じょうじ)さんによって設立されました。

展示の原点となるのは、原信太郎さんが小学6年生のときに初めて作った鉄道模型。

そこから、この「阪神電気鉄道」や「オリエント急行」など、国内外の名作模型へとつながっていきます。
精巧な構造と重厚感は、単なる模型の域を超え、当時の人々の暮らしや夢までも伝えてくれるようでした。
原信太郎さんの生い立ちと、日本の鉄道史

原信太郎さんは1919年(大正8年)、東京に生まれました。
現在の横浜駅周辺と照らし合わせてみると、当時は国鉄東海道線(蒸気機関車)が中心で、街には商人や外国人、船旅客が行き交う時代。
一方、関西では阪神電鉄などの私鉄がすでに走り始めており、幼い頃から電車に魅了されていた原さんは、小学5年生のときに関西への一人旅を決行したといいます。
その翌年に制作したのが、先ほどの「初めての鉄道模型」でした。

以降、新しい鉄道が開通すれば「一番切符」を求めて並び、国内外の鉄道模型を作り、集め続けた原さん。
鉄道だけではなく、文具メーカー・コクヨ株式会社に入社後は、工学や語学の知識を活かし、文具製造の自動化など技術面でも大きな功績を残しました。
家族の支えと、心温まるエピソード

展示では、ご家族とのエピソードも紹介されています。
奥様と3人のお子様に囲まれた原さん。仕事の都合でどうしても「一番切符」を取りに行けないとき、奥様が代わりに2日間並んで手に入れ、そっとプレゼントしたというお話には、思わず頬が緩みました。
その純粋な鉄道愛は、ご家族だけでなく、周囲の人も応援したくなるものだったのだと感じます。
世界最大級のジオラマ「いちばんテツモパーク」

そして、圧巻なのが世界最大級の鉄道ジオラマ「いちばんテツモパーク」。
運転体験中は気づきませんでしたが、全体を見渡すと、そのスケールの大きさにあらためて驚かされます。



規模感だけでなく、本物のスチールと枕木で作られた線路、精巧な建物、駅を行き交う人々。
それぞれに小さな物語が宿っているようで、時間を忘れて見入ってしまいました。
海外からも高い評価

帰り際、ジオラマを眺めていた海外からの来館者にもお話を伺いました。
オーストラリア・メルボルンから訪れたというみなさんは、「自国の鉄道博物館は実車展示が中心だが、ここはジオラマの精巧さが群を抜いている」と感動した様子。
スマートフォン一つで世界中を見られる現代とは違い、自ら調べ、足を運び、手を動かして築かれた世界だからこそ、原さんの感動もひとしおだったのではないでしょうか。
その奥深さと情熱の一端に触れられる貴重な機会でした。
鉄道初心者からマニアの方、お子さんからご年配の方まで。世代を越えて、誰もが心を動かされる展示に出会える博物館です。
原鉄道模型博物館
住所:神奈川県横浜市西区高島一丁目1番2号横浜三井ビルディング2階
アクセス:JR・各線「横浜駅」東口から徒歩約5分
みなとみらい線「新高島駅」2番出口から徒歩約3分
TEL:045-640-6699
営業時間:10:00-17:00(チケット販売終了16:00/最終入館16:30)
※予告なく営業時間を変更する場合があります。
休館日:毎週火曜日・水曜日(祝日の場合は営業し、翌営業日に振替休館)
年末年始、2月上旬(館内保守点検期間)






















