「鶴見神社」はJR鶴見駅東口から徒歩約3分のところにあります。
駅を背にして、川崎方面へまっすぐ進むと左手に参道が見えます。
道路の右側には目印の「鶴見神社参道」と書かれた石碑がたっています。

正面の鳥居のところには、門松と今年の干支である巳辰歳の開運絵馬がありました。
紅白で描かれていてとても縁起が良さそうです。
大正月を避けて平日に来たにもかかわらず、参拝に来られている方が数名いらっしゃいました。
いつ来ても必ず参拝者がいるので、それだけ地元の人々にとって身近で親しみのある神社なのでしょう。
私にとっても身近なパワースポットです。

鳥居をくぐると右手に手水舎があります。

鶴見神社の手水は自動水栓で龍の口に手を近づけると水が出るようになっています。
とても珍しいですよね。歴史のある神社に現代的な設備で驚きです。
鶴見神社の由緒
鶴見神社の歴史は古く、1400年以上前の推古天皇の頃に創建されたと言われています。かつては「杉山大明神」と呼ばれ、大正9(1920)年に「鶴見神社」と改称されたそうです。
鶴見神社は「杉山大明神」と「天王宮」の二社相殿となっていて、「鶴見七福神」の寿老人も担っています。
本殿は、「杉山大明神」に五十猛命(いそたけるのかみ)と「天王宮」に素盞鳴尊(すさのおのみこと)を祀っています。
五十猛命は別称「こだね(木種)の神」とされ、植林・成長の神・子どもの守護神とされています。
素盞鳴尊はかつて「牛頭天王(ごずてんのう)」とも呼ばれ、安全守護・厄除けなどのご利益があるそうです。

我が家は子どもたちのお宮参りも七五三も、鶴見神社でご祈祷していただきました。なんでも興味津々な長女は、ご祈祷中もソワソワ。拝殿も、宮司さんも全てが気になるようです。
それでも拝礼の時は見様見真似できちんと手を合わせ、頭を下げることができました。
ご祈祷が終わると、宮司さんがとても慣れた手つきで家族写真を撮ってくれました。
意外と家族写真を撮る機会がなかったり、何かとバタバタしがちで写真を撮り忘れたりするので、とてもありがたいです。

横浜川崎間最古の神社
鶴見神社にはいくつかの伝承があります。
仁治2(1241)年には鎌倉将軍源頼経が杉山大明神に参詣し、奉納したと伝えられる欅(けやき)がありました。残念ながら昭和37年に枯れてしまいましたが、その際、欅(けやき)の根元から弥生時代以降の土師器や祭祀遺物(祭りに使用された道具)が発見されました。
このことから現在の鶴見神社の場所が、推古朝以前より神聖な場所として祭祀が行われていたとされ、横浜・川崎間最古の社であることが立証されました。

江戸時代には、小倉の天王社の大神輿が鶴見川の天王河岸(現潮見橋付近)に流れ着きました。そこで鶴見村の百姓が茅を刈る”長柄の鎌”で引き上げ、鶴見神社の天王宮に奉納したことにより、「長柄の鎌の大神輿」と呼ばれるようになり、横浜最古の神輿と言われています。
長柄の鎌の大神輿は、明治時代に岡蒸気の火の粉で社が炎上した時も、大東亜戦争の戦火も、奇跡的にまぬがれたことから、この神輿が氏子へ渡御される年は、氏子に火災が起こらない「火伏の神輿」とも伝えられています。
毎年7月に執り行われる天王祭では、長柄の鎌の大神輿は各町内をまわり、鶴見の夏の風物詩として親しまれています。
毎年人出も多く、近くで見る大神輿はとても迫力があります。

平成20(2008)年には神社境内本殿前から東側にかけて、弥生時代から古墳時代初期の貝層が発見され、横浜市の史跡に指定されました。
かつてはこの辺りまで海があったなんて想像がつきませんね。

鶴見の田祭り
「田祭り」は、年のはじめに稲作の過程を模擬的に演じて、その年の豊作を祈願する行事で、横浜最古の民俗神事芸能とされています。
平安時代から鶴見神社に伝わっていましたが、明治4年に廃絶されてしまいました。
先代宮司の金子元重さんが鶴見の田祭りを復活させたいという強い想いから、昭和61(1986)年に115年ぶりに再興させました。
その後、金子元重宮司は平成28年度(公財)全国税理士共栄会文化財団地域文化賞(伝統芸能分野)受賞。
鶴見の田祭りが横浜市地域無形民俗文化財に登録されることとなりました。

田祭りは毎年4月29日に開催され、とても有名なお祭りですが、実はまだ見たことがないので、今年はお祭り大好きな娘たちを連れて見に行きたいと思います。

7つの鳥居
鶴見神社には7つの鳥居があります。
写真手前から清明宮・寿老人・祖霊社・関神社・秋葉神社・稲荷神社大鳥神社が祀られています。
7つも並んでいるなんて珍しいですよね。
鶴見神社は七福神の「寿老人」を祀る神社とされ、鶴見七福神に指定されています。もちろんご利益は「延命長寿」と「家内安全」です。

そのうちのひとつ「清明宮」は、なんと文豪三島由紀夫と森田必勝の2人が祀られています。
若かりし頃の三島由紀夫が、鶴見区内のバーの常連客だったという縁で、平成22年に建立されたそうです。
ちなみに”清明”とは、三島由紀夫の好きな文芸誌の名前だそうです。

鳥居のさらに奥に進むと、蛙が鎮座しています。参拝者がこの蛙の頭を撫でると無事に「帰る」という言い伝えがあります。
こちらの蛙、3歳児には少し怖かったようで、終始私の後ろに隠れていました。
よく見ると愛嬌のある蛙なので、参拝にいらした際にはぜひ蛙を撫でておかえりください。

奥の階段の上に建てられているのは浅間神社です。御祭神は木花開邪媛命(このはなさくやひめのみこと)です。
「火難の神」として知られ、富士山にも祀られているそうです。


「鶴見神社公園」
鶴見神社のすぐ横には「鶴見神社公園」という公園があります。
ブランコと小さなお家のような遊具があり、日中は保育園のお散歩などで遊びに来ている小さな子どもたちが楽しそうに走り回っている姿をよく見かけます。
夕方になると小学生の姿も見られます。
見渡せるくらいの広さなので、小さい子どもを遊ばせるのにちょうど良いです。
娘と鶴見神社を訪れた際には必ず立ち寄る公園です。

鶴見神社は鶴見駅から徒歩3分ほどで着きます。気軽に訪れることができ、日常の喧騒を忘れることができる歴史深い神社です。季節ごとに異なる表情を見せ、静けさの中に神聖な雰囲気が漂っており、いつの時代も地元の人々から愛され、大切にされてきました。
心が落ち着き、古の時代に思いを馳せることができる鶴見神社にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

鶴見神社
住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央1-14-1
アクセス:JR京浜東北線・JR鶴見線「鶴見駅」から徒歩約3分・京浜急行電鉄「京急鶴見駅」から徒歩約4分
TEL:045-501-4122(9:00-16:00)
駐車場:参拝者用あり