仔狛を抱く狛犬のいる鶴見区「駒岡神明社」

今回ご紹介するのは、鶴見区駒岡にある「駒岡神明社」。
江戸時代より祀られてきた由緒ある神社です。その頃からこの地域一帯の、そして今は地区氏神9社の総鎮守となっています。

畑の中に延びる静かな参道

駒岡神明社は、バス停「駒岡交番前」より徒歩約5分、「旭変電所前」より徒歩約2分の場所に位置しています。

バス停「旭変電所」を降りると、すぐ目の前が参道になっており、注連縄用の柱に「旭村駒岡中」と彫られています。1927年に横浜市に編入するまで、ここは「神奈川県橘樹郡旭村」と呼ばれていました。

木々の緑を背に住宅の屋根が見え隠れする中、両脇を畑に挟まれた参道を道なりに歩いていきます。表通りの喧騒が嘘のような、町中と思えないのどかな風景が広がります。

着きました! 手を合わせ、一礼して鳥居をくぐると、左側には水のない手水舎が。

そう、ここは無人のお社なんです。どうりでひっそりとしているわけです。

手水舎の斜め奥に道祖神の祠が祀られ、その後ろに社地寄進碑、右に皇太子殿下(現天皇陛下)ご成婚・伊勢神宮式年遷宮記念として玉垣が奉納された記念の碑が建てられています。

道祖神の祠
社地寄進碑

寄進碑の碑面には「奉納/神明社基本財産/畑七畝二十四歩」とありました。現在の単位に直すと、約991.74平方メートルを奉納したことになります。

皇太子殿下(現天皇陛下)ご成婚・伊勢神宮式年遷宮記念の玉垣が奉納された記念の碑

石段はかなり急です。お気をつけて!

拝殿は西向きに建てられています。正面に向かって、二礼二拍手一礼。お賽銭箱はありません。参拝を終えてふと振り返ると、珍しい光景が目に飛び込んできました……!

こんな狛犬、初めて見た! 小さい狛犬を抱く狛犬

拝殿に向かって右、阿形の狛犬

なんと、この神社の狛犬は小さい狛犬を抱いているんです! 自分の子なのか、たまたま近くで遊んでいた幼い狛犬なのか……。

拝殿に向かって右の口を開けた阿形の狛犬も、左の口を閉じた吽形の狛犬も、同じように小さな狛犬を前足に抱えています。 まるであやしてあげているかのように!

左側の、吽形の狛犬

どうして小さい狛犬を抱いているの? 子宝・安産・子育てのご利益のある神社なの?

こちらの神社の御利益は、「開運招福」「所願成就」「地域安全」「家内安全」……など。とくに子どもに関係するご利益は謳われていません。

では、何故?
その答えは台座にありました。

狛犬の台座を見ると、すり減ってはいますが、「武蔵国橘樹郡 神奈川領内 中駒岡村 領主 小塚長左エ門」の文字が読めます。この辺り一帯を治めていた領主さまです。

そして別の面に「石工 矢上村 片野七治郎」「嘉永五年壬子年(1852年)十一月吉日」と彫られています。この方が、珍しい子抱き狛犬を彫られた方のようです。

阿形の狛犬の台座。「領主 小塚長左エ門」の名が
吽形の狛犬の台座の「石工 矢上村 片野七治郎」の名

七治郎氏は昭和初期まで百代続いた矢上の石工「片野」の初代で、この駒岡神明社の狛犬を彫る3年前に、淡島社(都筑区折本町1458)の狛犬も彫られているそう。

そちらの狛犬の足許にも、仔狛(子どもの狛犬)がじゃれついているということです。しかし、仔狛が大きい狛犬の子どもなのかどうかは、どちらについても不明でした。

この上に何があるのかな? 登っていってみよう!

ふと傍らを見ると、桜の木が。そして社務所の奥に何やら標識が……。

少し葉が出始めていた桜の木。
「うぐいす広場→」の標識。

標識には「うぐいす広場→」とありました。これはもう登ってみるしかありません!

手すりをしっかりつかんで、滑らないようつまずかないよう、注意しながら足を運んでいきます。階段は何度か折れ曲がりながら、結構長く続きます。

土に埋められた材木の階段、脇にすみれが咲いていました。

登り切った先に見たものは……

頂上にあったのは、ベンチの付いた二つのテーブルでした! 木陰に水道も設置されています。蛇口をひねると、ちゃんと水が出ました。家族連れでピクニックに来てもよさそうです。こんなところに隠されているなんて、何だか秘密の場所にしたくなりますね。

傍らには水道が。もちろんちゃんと水が出ます。

枝の間から葉の重なりを透かして光がこぼれてきます。これからの天気の良い日にも、これだけ葉が濃く繁っていると、暑くなり過ぎずに過ごせるかもしれません。

頂上の広場から二手に道が分かれています。辿ってみると、どちらも住宅街の公道に出ました。では、そろそろ戻るとしましょうか。

下りの階段には椿の花が散り敷かれていました。

なお、駒岡神明社は現在は無人のため、師岡熊野神社(港北区)の兼務社になっています。

お近くの際は、歴史と自然を感じに足を運んでみてはいかがでしょうか。

駒岡神明社
住所:神奈川県横浜市鶴見区駒岡3-9-1
アクセス:
京浜東北線「鶴見駅」西口から川崎鶴見臨港バス「新川崎交通広場」行き「旭変電所」下車徒歩約2分
東急東横線「綱島駅」から東急バス「日吉駅」行き「旭変電所」下車徒歩約2分
東急東横線「日吉駅」から東急バス「綱島駅」行き旭変電所下車徒歩約2分
TEL:045-531-0150
※師岡熊野神社(兼務社)神奈川県横浜市港北区師岡町1137
営業時間:制限なし
定休日:なし
駐車場・トイレ:共になし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。