職人の技と温かさが伝わる、鶴見の和菓子屋『菓心 雪梅庵』

今回は知る人ぞ知る鶴見の和菓子屋さん『菓心 雪梅庵(ゆきうめあん)』のご紹介です。
京浜急行電鉄「花月総持寺駅」より徒歩6分ほどのところにあります。
閑静な住宅街を少し進むと見える、「フルーツ大福」と書かれたカラフルな店頭幕が目印です。

横にある小さな階段をのぼると入り口です。
店内は商品がパッと見渡せるくらいの広さで、目の前にはガラス張りの作業場が見えます。
和菓子屋さんには珍しく、目の前で和菓子が作られていくところを見ることができます。

雪梅庵の和菓子は全て店主の手作り。
一つひとつ丁寧に作り上げられていきます。その手捌きは思わず見入ってしまうほどです。

私が来店した時はどら焼きの皮を焼いていました。
真っ平らな鉄板に生地を落とし、均等な丸をどんどん作っていきます。
従業員の方のお話では、「生地をすくうこと自体が難しい」そうです。
いとも簡単に生地をすくって落としていくのはまさに職人技です。

生地を焼いたら、先に焼けた生地に餡をはさみ、梅の花の焼印を押していきます。
その手際のいいこと。あっという間にうめ餡入りの『雪の梅どら焼き』の完成です。

雪梅庵はどら焼きだけでも数種類あり、白小豆餡入りの黒糖どら焼き『ご縁まる』、雪梅庵の代表銘菓つぶあん入りの『恩返しどら焼き』があります。
可愛らしい店主の絵が入ったパッケージのデザインなども、自ら考えたそうで添加物を一切使っていない愛情たっぷりのどら焼きです。

上生菓子に魅せられて

実は雪梅庵の和菓子は中国人店主の熊 雪梅(ゆう せつばい)さんが全て一人で作っています。
熊さんは故郷の中国で、日本土産の上生菓子に一目惚れ。そのきれいさに衝撃を受け「私はこれを作りたい!技を身に付けて一生これを作る!」とその場で決めたそうです。

強い想いで来日し、日本語が喋れないところから通常2年かけて取る日本語1級の資格を1年間で取得し、その後和菓子の製菓学校へ入学。周りの人たちにたくさん助けてもらい卒業し、念願の和菓子屋へ就職。

「日本で本場の和菓子をもっともっと奥まで追求して、味、和の雰囲気、侘び寂び、日本の文化を奥深くまで知り尽くしたい」という気持ちから、日本全国、東京・静岡・名古屋・大阪・沖縄などの有名店で修行し、2018年に人情溢れる町生麦で、『菓心 雪梅庵』をオープンさせました。

そしてお店の看板商品はどら焼きで、名前は迷うことなく「恩返しどら焼き」にしたそうです。
今まで助けてくれた人たちに少しずつ、少しずつ恩返しできたらという熊さんの気持ちが込められています。

店内に飾られている木彫りの型は、修行時代の師匠方からいただいた大変貴重なものだそうです。

予約必須!大人気フルーツ大福

雪梅庵にはたくさんの種類の和菓子があります。
中でもフルーツ大福は予約必須の大人気商品で、種類は季節のフルーツに合わせて変わります。

今の季節は柿・みかん・苺で、柿は今ある分で今期お終いのようです。
みかんは味丸、苺はあまおう。
それぞれフルーツ大福に合う選りすぐりの品種が入っています。

中に入れる餡は店主こだわりの白餡です。
甘すぎず、さっぱりしてフルーツとのバランスがいいそうです。

この日はすでに午前中の分は売り切れてしまっていましたが、ラッキーなことに午後の販売分を作った後だったのでたくさん並んでいました。
日持ちする期間は、柿は中の柿がカットされているため当日中で、苺とみかんは実がそのまま入っているので次の日でも大丈夫とのこと。今回は、日持ちが長めの苺・みかん・柿を購入することにしました。

上生菓子は店主が和菓子づくりを始めた原点でもあり、デザインから考え餡の種類もさまざまです。
日本の季節の移ろいを表現しているそうで、どれもきれいな色合いと繊細な作りで、職人技が光ります。
この日は椿・雪景色・ゆず・サンタなど季節に合わせた上生菓子が並べられていました。

羊羹は、たっぷりの栗が使われた栗羊羹とめずらしい和風ホワイトチョコ羊羹がありました。
和風ホワイトチョコ羊羹は柑橘系のドライフルーツが使われていて、さっぱりした味わいで見た目も華やかです。
ワインやコーヒーに合うチョコキャラメル羊羹もあるそうで、どの羊羹もとても気になりますね。

至福の時間

帰宅後、さっそくご厚意でいただいた梅どら焼きを食べました。
丁寧に焼かれていた生地はしっとりもちもちで食べ応えがあり、生地だけでも大満足です。
梅どら焼きの中にはうめ餡が入っていて、さっぱりしてほんのり梅の酸味があり、甘い生地と相性抜群です。

大人気のフルーツ大福は、フルーツ大好きな娘が帰宅してから一緒に食べました。

「うわぁー。みかん!」娘は断面を見て大はしゃぎ。
「いちご、おいしー」「かきだぁー」とニコニコしながら食べていました。

大福の断面は娘の言うとおりほぼフルーツ。
まるでフルーツを食べているかのように口いっぱいに果汁が広がります。
どれも瑞々しく、一緒に包まれている白餡が甘すぎずとても良いバランスです。
外側の求肥も絶妙な薄さで重くなく、ペロリと食べられてしまいます。

よほどおいしかったのでしょう。
次の日の朝、長女が「きのうみかん、おいしかったね」と言っていました。

今年の苺は例年より少し小さいらしく、1月の下旬くらいにはもっと大きな苺になっていると教えていただいたので、今度は長女も連れて買いに行こうと思います。
苺大福は毎年2月頃まで楽しめます。
フルーツの仕入れ等によって作る個数は異なるようですので、ご予約か早めの時間帯でのご来店をおすすめします。
ちなみに、「菓心 雪梅庵」は年末年始も休まず営業するそうで、毎年とても忙しいとのことでした。

お店の最寄り駅である花月総持寺駅は、京急鶴見駅から京浜急行電鉄で1駅。京急鶴見駅から乗って、わずか2分で着きます。
京急電鉄の駅間はそれほど長くないので歩いて行くこともできますよ。

土日は三ツ池公園・總持寺・鶴見駅西口などでおこなわれるマルシェやイベントにキッチンカーでの参加もしているそうです。ピンクのキッチンカーなのでわかりやすいと思います。

SNSも発信されていて、季節限定の商品や出店情報などがあり、全体的に店主の和菓子が好きな気持ちや優しい人柄がうかがえてほっこりするアカウントなので、ぜひご覧になってみてください。

菓心 雪梅庵
住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦5-16-5 キープラザ 1F
アクセス:京浜急行電鉄「花月総持寺駅」から徒歩約6分
TEL:045-716-8812
営業時間:9:00-18:00
定休日:火曜日・水曜日

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。